【コラム】(連帯)保証人の消滅時効援用

【消滅時効の基礎知識】

債務者が金融機関等からお金を借りていて、途中からまたは最初から弁済せずに一定の期間が経過すると(時効の中断事由がなく、途中で訴訟や支払督促(簡易裁判所)などの法的手続きをとられていない場合)、債務者は「消滅時効の援用」を行い、債務の支払義務を消滅させることができます。これを消滅時効といいます。時効の援用ができる「一定の期間」とは個人間のお金の貸し借りなら10年間、金融機関からの借入金なら5年間です(民法第167条、商法第522条)。

【保証人がいる場合】

借りた本人(「主たる債務者」略して「主債務者」などといわれます。)は時効の援用を行って債務が消滅するとしても、保証人の支払義務はどうなるのでしょうか?

保証債務には主債務についての「付随性」がありますので、原則として主債務者が主張できること(例:既に支払った、支払期限がまだ来ていない、など)は保証人も主張することができます。したがって、主債務者が時効の援用を行って債務が消滅した場合、保証人も同様に消滅時効の主張ができます。

【保証人が一部弁済していた場合】

それでは、主債務者は一定期間弁済を行わずに消滅時効援用の要件を満たしていたとしても、保証人が一部弁済等を行い、時効の中断事由がある場合、どうなるのでしょうか?(主債務者が一部弁済等を行い時効の中断事由がある場合は、主債務者は時効の援用ができません。その場合は保証人もその付随性により時効の援用をすることができません。)

保証人が債権者に一部弁済を行ったとしてもそれはあくまで「保証債務(保証人として負っている支払義務)」の弁済であり「主債務(借りた本人の支払義務)」として支払っているわけではありません。そのため、保証人が保証債務の一部弁済を行っていたとしても、主債務について消滅時効の要件を満たしている場合は、主債務について消滅時効の援用が可能です。

しかし、保証債務については時効が中断しているため時効の援用はできないとも考えられますが、保証債務には付随性がありますので、主債務が消滅した以上、保証債務も付随して消滅するため、保証債務についても支払義務が消滅することになります。

【債務の相続とは分けて考える】

そもそも債務者が借入を行い保証人を付けるのは、どういったケースが多いでしょうか。次の2つのパターンが多いのではないでしょうか?

①主債務者:会社等の法人 連帯保証人:代表者個人

②主債務者:A(個人) 連帯保証人:Aの家族(親・子・配偶者・兄弟など)

②の場合は注意が必要です。関係者の生前にすべて片付いたならいいのですが、主債務者や保証人に相続が発生した(亡くなった)場合、単に主債務者や保証人としてではなく、相続人としての義務を引き継ぐことになります。例えば「主債務者の相続人 兼 連帯保証人」という立場になることも考えられます。その状況で一部弁済を行うと、保証債務の弁済ではなく(相続した)主債務の弁済となってしまい、時効の援用ができなくなってしまうことも十分考えられます。

■■ひまわり司法書士法人 司法書士本松紳司 記■■

コラムの最新記事

登記や法律の無料相談実施中!0120-979-250

お知らせ・最新解決事例

ページ上部へ戻る