【コラム】一戸建てを所有している方は「私道」持分にご用心

一般的に道路といえば、「公道」(市区町村や都道府県などが管理している道路)をイメージされる方が多いと思います。

しかし、住宅の敷地に接した道路は「私道」であることも多く、このような不動産の名義変更(相続、贈与、売買など)の際は注意が必要です。「宅地部分と建物は名義変更ができたが、私道部分の土地について名義変更ができていなかった」となると様々なトラブルを引き起こします。

いくつかの土地に接する私道の場合、その道路に接する土地の所有者が共有で持ち合います。一人でも道路持分を所有しない宅地の所有者がいた場合、その道路を通行する権利を持っていないので(私道も私有地です)、自分の土地にすら辿り着けない状態になってしまうのです。もしその持分を忘れたまま相続の名義変更を行うと、再度相続登記を申請する必要が生じ二度手間になってしまいますし、売買の際に私道持分が漏れて取引してしまうと(持分を「飛ばす」といいいます)、買主は購入した土地まで通行する権利を有していないことになり、大問題です。訴訟問題に発展してもおかしくないでしょう。

場所によっては道路だけでなく、浄化槽や公民館の敷地などもご近所さんで共有しているケースもあるので注意が必要です。

先日こういうケースもありました。

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Aさんは住宅地に宅地を購入し家を建てました。しばらくしてAさんが亡くなったので、これを相続したBさんは空き家になった宅地・建物を売却しようとしました。不動産の相続をご依頼いただくと、登記簿謄本や不動産の名寄帳を調査するのですが、その時に次の事実が判明したのです。

土地の前面道路は私道となっていましたが、なぜか宅地を買った時点では私道の持分は名義変更されていませんでした。何か問題になることがあったのか、持分を所有していないことに気付いたのかは分かりませんが、宅地を購入してから数年後に、私道に接した他の宅地の所有者であるCさんからその持分の一部を「贈与」で受取り、その旨もちゃんと登記されていました。

私道持分を売買で取得しようが贈与で取得しようが、権利を取得することには違いありませんのでここまでは問題ありません(そもそも私道持分を取得していなかったのは問題ですが)。

しかし、今回問題だったのはCさんは住宅ローンを組んで宅地と道路持分を購入していたのです。住宅ローンを組むとほぼ100%の確率で、金融機関はその不動産をすべて担保に取ります(抵当権が設定されます)。そして、Aさんはその抵当権が設定されたままの状態で私道持分を「贈与」されていたのです。贈与で名義変更していることから考えると、おそらく不動産会社を通さずに個人間で取引をしたのでしょう。私道部分のさらに持分だけなので、資産価値としてはほとんどタダ同然です。そのため代金が発生しないように、贈与で名義変更したのでしょう。

相続したBさんがこの物件を売却するためには、当然この私道持分も一緒に売却しなければならないわけですが、抵当権が付いたままでは売却できません。しかも、Bさん自身のローンについての抵当権ではないのでどう対応すればいいのかわかりません。

そして、さらにこのケースで厄介だったのは、何とCさんも亡くなっていたということです。

この場合、Cさんのご家族に連絡をとって誰かに相続してもらいその相続人が金融機関と連絡を取って抵当権抹消の手続きをしてもらう必要がありますが、金融機関はBさんと直接やり取りしてくれない可能性が高く(「Cさんの相続人でない方とはお話しできません」と言われる。)、結局BさんとしてはCさんの相続人の手続きを待つしかない状態になってしまいます。

しかも不動産の相続登記も抵当権抹消登記も義務ではなく任意なので、Cさんの相続人が手続きをしてくれないかも知れません。

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不動産会社や金融機関、司法書士などが手続きに関与するとこのような問題は通常あり得ませんが、このケースではおそらく最初に宅地を購入した際に仲介した不動産会社に見落としがあったのでしょう。

金融機関が住宅ローンの融資をする際は、当然不動産の物件調査を行いますのでその時点で判明する可能性は高かったと思われますが、もともとAさんは借入を行わずに自己資金で宅地を購入されたため気づかれることなく売買してしまったのだと思われます。

それだけではほとんど資産価値の無い私道ですが、宅地や建物と1セットとしてしっかり管理しないとこのような大問題を引き起こしかねません。

ご自宅・ご実家の前の道路は、公道ですか?私道ですか?はっきりしない方は一度お調べになってみてはいかがでしょう?

 

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