【コラム】贈与・相続 における 法務(法律)と税務(税金)の考え方の違い

ここ数年、アベノミクスによる景気向上や相続税の基礎控除の引き下げの影響もあってか、相続や贈与に対する意識が高まっています。

経済系の雑誌やNHKをはじめとするテレビのワイドショーなどでも「相続」「遺言」「信託」などがテーマとして扱われることが多くなりました。少し前には、遺産争いをテーマにした連続ドラマもテレビで放映されました。

そのため、相続や贈与についていろいろ調べて詳しい知識をお持ちの方も多くなってきました。

相続や贈与については「法務(法律)」と「税務(税金)」の観点からアプローチしなければなりませんが、この2つは次のとおり考え方が少し異なる部分もあります。

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【(例1)相続における生命保険金(死亡保険金)について】

Aさんを被相続人(亡くなった方)、Bさんを相続人とします。Aさんは生前、自身を被保険者とする生命保険に加入しており、受取人をBさんに指定していました。この場合の生命保険金をどのように考えるでしょう?

 

(法律上の考え方)

Aさん死亡による生命保険金は、「保険金支払請求権」というBさん固有の権利(財産)です。遺言書がない限り、預貯金・不動産・金融商品などの相続財産は、①相続人全員で協議を行い⇒②その証明書類(遺産分割協議書、相続手続依頼書など)を作成し⇒③相続人全員の実印での捺印⇒④相続人全員の印鑑証明書提出 という流れで名義変更、払戻しなどを行います。

一方、保険金の請求は受取人一人で行うことができます。Bさん以外にCさん、Dさんといった相続人がいたとしても、保険金請求手続きにCさんやDさんの関与(捺印など)は必要ありません。

なぜなら、法律上「保険金支払請求権」はBさん固有の財産であり、相続財産ではないからです。

保険金はこのように単独で請求手続きができるため、とてもスピーディーに受け取ることが可能です。そのため死亡後すぐに必要な葬儀代金に充てるために保険契約をしておくという活用方法もあります。

(税金上の考え方)

上記のとおり法律上、保険金請求権は相続財産に含まれないのですが、相続税の計算においては生命保険金も相続財産に含んで計算を行います。

相続税は相続全体で税額の計算を行い、それを相続割合に応じて各相続人が納付します。

預貯金にしろ保険金にしろ、多く受け取った相続人はそれだけ多く納税する必要が出てきます。しかし、生命保険金には相続人一人につき500万円の非課税枠という制度がありますので、うまく活用すれば納税額を抑えられます。

 

【(例2)不動産の売買について】

相続税評価額1000万円の土地の売買について考えてみましょう。

 

(法律上の考え方)

土地の所有者であるAさんがBさんにこの土地を50万円で売却したとします。両者が納得しているならこの売買取引は有効に成立します。いくらで売ろうが、いくらで買おうがそれぞれの自由だからです。まったく問題ありません。

(税金上の考え方)

(一概にそうとは言えませんが、わかり易く言うと)本来1000万円支払うべきところを、Aさんが差額の950万円を「まけてあげた」のですから、1000万円のうち支払われた50万円は売買代金、差額の950万円は贈与とされます

つまりこの場合、AさんからBさんに950万円の贈与があったとみなされFさんは額に応じた贈与税を納める必要が生じます。

 

不動産に関係した似たようなケースで、2000万円のマイホームを購入する場合、夫と妻で1000万円ずつ出し合って家を買うのに、夫の単有名義で登記してしまうと「妻から夫へ1000万円贈与された」と判断されてしまいます(住宅資金として1000万円負担しているのに不動産の所有権を取得せず夫の利益になっているから)。このような場合は、贈与とならないために2分の1ずつの共有名義として登記を行うのが一般的です。なお、マイホームの資金を自身の預貯金から拠出しようが住宅ローンを組んで借入金から拠出しようが、どちらでも変わりません。

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法務では契約自由の原則から、どのような「意思表示」「合意」があったか、税務では実質課税の考え方から「(契約上どうであれ)実質としてどうなのか」という観点で判断します。

そのため、このような違いが生じているのです。

不動産業者、金融機関、保険会社または税理士、司法書士などの専門家が間に入って調整してくれる場合は、このようなことも当然意識しながら業務を行うのでいろいろアドバイスがあると思いますが、ご家族間や個人間だけで契約・手続きをしようとすると思わぬ落とし穴があるかも知れません。気を付けましょう。

 

 

 

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